My dear
この前から、アスランはものすごく元気がない。
あたり前だ。
議長から直接受領した機体、バラバラに壊されて。
ベッドで苛めて無理やりしゃべらせた範囲しかわからないけれど、どうも、昔の友達と喧嘩もしたらしい。
でも、不謹慎かも知れないけれど、弱っているこの人は、もの凄く色っぽくて。
ベッドでも戦場でも、経験豊富な年上の恋人。
だけど、俺が、守ってあげなくちゃって。
いつもよりたくさん、そう思う。
「あ・・・ァ・・・・」
辛そうな声に、シンはびくりと進めかけた体を止めた。
「あ、痛かったですか？」
「い、や・・・」
しかし、うつ伏せてシーツにしがみ付いた肢体はふるふると震え、息遣いは荒く、涙混じりになっている。
シン自身、半端なところできつく締め付けられて、痛い。
「すみません・・・もう少し、慣らしますね」
ずる、と抜き出そうとすると、後ろ手に腕を伸ばされて、止められた。
「いや、いいから。はや、く・・・」
「ダメです」
完全に抜き去り、赤く染まったそこにジェルを足す。
「あ、は・・・・」
指を差し込めば、吸い付く内壁。
上がる声。
「いい、から。シン・・・」
「最近あんた淫乱過ぎ」
理由なんて、教えてもらえないけれど。
もういいかな、と指を抜き取り、もう一度、我慢を重ねたものを押し付けようとして。
「前から、が、いい」
「あ、はい」
やり方で、こんなに注文をつけてくるのは、久しぶりだった。
関係を持つようになってしばらくは、慣れないシンにいろいろ文句をつけていたものの、最近はすっかり任せてくれるようになっていたのに。
ここのところ、急に痩せてきた体をそっと返し、浮かぶ涙に鮮やかさを増した瞳を覗き込む。
辛そうに、細められた瞳。
最中だけじゃない。もう、ずっと。
こんな顔ばっかり。
「じゃ、いいですか？」
白い脚を抱え上げ、胸に付きそうなほど折り曲げて。
確かに、この方がアスランの感じる顔と、イヤラシイ姿が堪能できて好きなんだよな、と、シンは胸中呟く。
「は、くっ・・・・」
やっぱり、辛そうな顔。
でも、しなやかな腕がシンに伸ばされて。
少し冷たい手のひらが、シンの背をさまよってから、ぎゅうっと首にしがみ付いた。
「あ・・・ふっ」
ぴったりとくっついた体。
動き辛いけど。
力、強いから、実はちょっと痛いんだけど。
「アスランさん・・・」
でも、それだけ俺に縋ってくれてるってことだから。
俺が、必要だってことだから。
涙を溜めた眦に、キスをして、雫を吸って。
喘ぎを漏らす唇に、ありったけのキスをして。
「んぅっ・・・」
「あ、キモチイイ？」
ジェルでぐちゃぐちゃになったそこは、しっかりとシンを食んで、締め付けてくる。
いつもより、きついのはなんでかな。
早く、蕩かせてあげなくちゃ。
ゆっくりと腰を揺すりながら、動ける範囲にキスをする。
いっぱい、可愛がってあげたいって、わかってくれるかな。
大好きって、わかって、くれるかな。
「シ、ン・・・」
ため息のように名前を呼ばれて、濡れた翡翠が瞬いた。
我慢できなくて、苦しげに喘ぐ唇に口付ける。
「そんな顔、しないでくださいよ」
俺といるときは、笑って欲しい。
それが無理なら、ちゃんと泣いて欲しい。
あんたが今、何で苦しいんだか、俺にちゃんと教えて欲しい。
そうしたら、いっぱい慰めてやるのに。
何か、してやれるかも知れないのに。
俺だって、随分強くなったんだから。
あんたに負けないくらい、強くなったんだから。
汗を含んだ生え際に唇を落とすと、逆に喉もとを舐められてぞくりとした。
「も、っと・・・・」
でも。
足りない、とばかりに、まだ固さの残るそこを押し付けて。
長い手足を、シンの体に絡み付けて。
ただ、淫らな快楽だけを欲しがる人。
大事なことは、何にも言ってくれない人。
どうしても、話してくれないなら。
「は、い」
言われたとおり、もっと、いっぱい突き込んで。
上がった苦しい声を、聞かないことにして。
キスをして、抱きしめて。
あなたの、望むままに。
「あっ、やっ、ああン・・・」
びくびくと、細い腰が引き攣れて、イヤラシイ声が、高く、上がる。
これだけしか、役に立たないんなら、これだけでも、いっぱいあげる。
だから、いつか。
ちゃんと、俺に話して。
俺を信用して、必要として。
差し伸べた手に、気がついて。
ベッドでも戦場でも、経験豊富な年上の恋人。
ベッドと戦場でしか、俺を必要としてくれないかたくなな人。
誰よりも、強くて脆い、あなたを。
俺が、守ってあげなくちゃって。
たくさん、たくさんそう思う。